2015年5月7日木曜日

U2 / Sunday Bloody Sunday~ New Year's Day (1972)



毎月1アーティストをピックアップし、
1か月かけてそのアーティストの歌詞を掘り下げてみようという
Monthly Lyricsのコーナー。

今月はU2をピックアップ。

非常にメッセージ性の強い曲が多いアーティストです。
今日は、3枚目のアルバム「WAR」から2曲。

まず1曲目は、Sunday Bloody Sunday

1972年、北アイルランドで起きた血の日曜日事件を歌った作品。
当時、差別的な扱いを受けていたカトリック系の住民が改善を求めて
デモを行っていたところ、イギリス陸軍の発砲に遭い、デモ隊と通行人14名が死し、
13名が負傷しました。この事件のことを歌ったナンバーです。

そもそもは1921年にイギリスから独立した際、
北アイルランドの人口3分の2にに達するプロテスタント系住民が支配的地位を占め、
カトリック系住民との宗教的対立や差別が生じています。

今日のニュース 信じられない
目を閉じてなかったことになんてできない
いったいいつまで こんな歌を歌わなくちゃいけないんだ?
僕たちは 今夜 一つになるんだ
子供たちの足元には 割れたビン
日曜日 血の日曜日
戦いは始まったばかり
多くを失った 誰が勝ったのか教えてくれよ
僕らの心に溝が掘られる
母親 子供 兄弟姉妹 引き離された
日曜日 血の日曜日
いったいいつまで こんな歌を歌わなくちゃいけないんだ?

いったいいつまで?

2曲目は、New Year's Day
タイトルは、Happy New YearNew Years Dayですが、
歌詞は、新年おめでとうという内容ではないんです。

この曲は、ポーランドの民主化運動に貢献した労働者組織「連帯」のことを
歌っています。
第二次世界大戦後、ポーランドは共産主義国家となり、ソ連の影響下で抑圧的な
政治体制を維持していましたが、市民による民主化運動が止むことはありませんでした。

そんな中、ポーランド出身ヨハネ・パウロ2世がローマ教皇に就任しました。
ローマ教皇は、ロシアが毛嫌いしている全世界のカトリック教会のトップ
ですから、ポーランド出身のヨハネ・パウロ2世がローマ教皇に就任したことによって
国民の反ソ連の意識が高まりました。

そんな民主化運動の中心となっていたのが労働者組織「連帯」。
政府からは非合法組織と見られ、組織のメンバーは投獄され、
家族と離ればなれにされたりしました。

その事実を知ったU2のボノは、当時、
奥さんへのラブソングとして書きかけていた歌詞を作り変えて
New Years Day」として完成させたそう。

血で染めたような真っ赤な空の下
民衆が集まっている
腕を組んだエリートたち
新聞には これは真実だ と書いてある

僕らは 二つに引き裂かれたけど
乗り越えられる
僕らは一つになれる
もう一度最初から始めるんだ